第22回世界大会メダリスト感想 Part.1

世界大会 メダリストインタビュー No.1
ベテラン・シルバークラス 男子トゥル2段 優勝
寺島 政智 選手
はじめに、世界大会に向けて御指導いただきました師賢、師範の皆様、一緒に練習した選手団の皆様、長期の渡航に配慮してくれた職場の皆様、そして福島クラブの練習生をはじめとする応援してくれた全ての皆様に心から感謝申し上げます。
大会全体を通した感想として、海外選手の身体能力の高さや強豪国と呼ばれる国の技術力の高さ、戦術等、こんな動き方・戦い方があるのか!と驚きの連続であり、非常に学びが多く、改めてテコンドーの奥深さと楽しさを実感しました。
自分自身の結果としては、初めての世界大会でしたが変な気負いもなく、思ったよりも落ち着いて試合には臨むことができ、なんとか優勝することができました。一方、呼吸や動作の力強さではまだまだ改善点も多く見つかったことから、今後一つずつ着実に練習し、動作のリアリティを追求していきたいと思いました。
試合のなかで印象的だったのは、海外選手はルールを熟知し、ルールを上手く使って戦っていた点です。トゥルではどういった点が評価されるのか、マッソギでは効率的にポイントを取り・ポイントを取られないようにはどう動くか、武道の本質から外れた話になってしまうかも知れませんが、海外選手は勝つために勝負に徹していることを強く感じました。
また、朝鮮やロシア等の強豪国と呼ばれる国の選手は、体力面が特筆しており、手数も多く連戦でも動きが衰えていないのが印象的でした。ウォーミングアップの風景を覗くと、ジャンプや縄跳び等を延々とかつ軽々と行っており、ミット蹴りでは技を繋げる、出された目標に対して直ぐに反応するような、常に自分自身が動くこと、動く相手を想定することに意識を置いた練習を多くやっており、非常に参考になりました。
今後は、強化練習、大会で得た貴重な学びを日々の指導に活かすとともに、自分自身も引き続き修練に励み、福島県での更なるテコンドーの普及を進めていきたいと思います。
世界大会 メダリストインタビュー No.2
ベテラン・ゴールドクラス 男子トゥル3段 優勝
松原 宏和 選手
まずは、強化練習と大会まで指導していただいた監督、コーチ、トレーナーの方々、札幌でいつも気にかけてくれてる安田師範、一緒に練習をして試合で応援していただいたJAPANチーム、大会まで思う存分やらせてくれた家族にたいして感謝しかありません。
世界大会は2016年以来、二度目の参加になります。
これまで選考会での落選もあったのですが「世界大会に出場」を胸に秘めて練習を続けてきました。
そして今回、選考に通り、目標にしていた大会に進めることができて本当によかったです。
左ヒザを痛めてしまい、思うように動けないこともあったのですが、その日にできる「精一杯のことは出し切ろう」と自分に言い聞かせて練習に励み、試合に臨みました。
その成果が優勝に繋がったことは、自分に自信を持てました。
また、試合終了直後は張り詰めてた緊張から解放され、これで北海道に帰れるとホッとした気持ちもありました。
世界大会を通して、なによりも嬉しかっのはコートの側で応援してくれた仲間達と一緒に勝利を喜べた事です。
一生の思い出になりました。
改めて、これまで携わっていただいた全ての方々に感謝の気持ちを伝えたいです。
ありがとうございました。
世界大会 メダリストインタビュー No.3
ベテラン・シルバークラス 男子トゥル4段 優勝
船水 健二 選手
はじめに、今大会出場にあたり強化練習からお世話になった監督、コーチをはじめサポートしてくださった皆様にお礼申し上げます。
今回の世界大会ではシルバークラスの4段のトゥルでの出場となりました。
15歳の時にはじめてピョンヤンの世界ジュニア大会に出場して世界のレベルの高さ、またテコンドーの凄さ、楽しさにどっぷりハマり、それから世界大会で優勝を目標にずっと出場してきましたが、やっと世界大会で優勝する事ができました。
優勝の瞬間はとても嬉しかったのと同時に、たくさんの負けと努力と挑戦と、時間は掛かりましたがこれまで自分がやってきた事を信じて諦めず継続してきたことを誇りに思いました。
そして自分が優勝した以上に嬉しかった事が、はじめて自分の生徒と一緒に世界大会に出場が出来た事もそうですが、出場しただけでなく、一緒にメダルを手にし、世界の舞台で同じ表彰台に立てた事は何よりも嬉しく最高の思い出になりました。
これも長く選手として、指導者として携わってこれた事だと思い幸せに思います。
これからもまだまだ選手としても指導者としても頑張って行きたいと思いますし、今回の結果で満足せずにもっと成長が出来るように、また今回は強化練習での目の怪我がありマッソギでの出場が叶わなく、試合を見ている立場で非常に悔しい思いをしました。次の世界大会こそはマッソギでも優勝が出来るように日々努力して行きたいと思います。
最後になりましたが、今まで指導、育てて頂いた師賢、師範、応援してくれた道場生、共に頑張ってきた仲間たちには感謝しかありません。
本当にありがとうございました。
世界大会 メダリストインタビュー No.4
ベテラン・シルバークラス 女子トゥル1段 優勝
樋口 喜子 選手
まずは、ご指導いただいた先生方、日本選手団を支えてくださった方々、共に戦った代表メンバー、日ごろ練習を共にする仲間たち、そして、審判・運営・現地ボランティアの方々など、世界大会に携わった全ての方々に感謝申し上げます。
初めての世界大会で強く感じたこと。それは、テコンドーという競技の素晴らしさです。世界中の選手たちが、一つのコートで身一つで戦う。その勝敗には、人種や国、宗教、ましてや社会的肩書きといったバックグラウンドは関係ありません。統一された基準で勝敗の決まる不純物の少ない世界。「もう〇〇歳だから」「女性だから」…様々なレッテルを貼られがちな日常から解放された世界大会のコートは、私にとってこの上なく心地のよいものでした。
そして同時に、“世界の小ささ”も教えてくれました。勝ちたい想いは誰もが同じ。この日のために最大限の努力を重ね、自分の弱さと向き合ってきたことも、きっと同じ。だからこそ、国や言語関係なくただ同じ人間として互いを称え合う。そんな選手たちの姿から、国際共生や相互理解への希望を感じました。
強化練習から大会期間中を通してずっと心にあったのは、「私は何て恵まれた環境にいるんだろう」という感謝の念です。気づいたことを他人に指摘するのはエネルギーのいることだと思いますが、コーチ、代表メンバーの方々は、私に惜しみなくアドバイスをくださいました。団体女子メンバーの動画キャプチャーには、修正点がぎっしりと書き込まれていました。周りを見渡すと、自分よりはるかに努力をしている人がいる。人のために惜しみなく与える人がいる。そんな恵まれた環境が、未熟な私を勝利へと導いてくれたのだと思います。
今後世界で勝つために何をすべきなのかは、誰に言われるまでもなく選手一人ひとりが気づいているはずです。今の自分は過去の行動からできていて、未来の自分は今の行動が作るもの。未来を、今、作りにいきたいと思います。
世界大会 メダリストインタビュー No.5
ベテラン・シルバークラス 男子トゥル5段 優勝
姜 昇利 選手
今回の世界選手権は、自身の通算9回目の出場となり、結果は男子個人5段トゥル(形)の競技で優勝することができました。
私が中学生の頃のテコンドー入門当初、師匠が日本が誇る唯一無二の世界チャンピオン黄秀一師賢だったこともあり、自分も「国内で誰も辿り着いたことのない金字塔を打ち立てたい。」という目標をいつの間にか抱き始めました。
そして今回で3段、4段、5段で世界選手権優勝という国内では前人未到の記録をさらに伸ばすことができました。
黄秀一監督も大会最終日の総評で仰っていました通り、挑戦する過程や大会を通じて得れる学びなど、結果よりも大切なことは沢山あります。
それにまだまだ未熟なところは限りなくあり、満足・慢心しているわけでは決してありません。
ですが一度きりの人生、テコンドーに人一倍の志を持って情熱を注ぎ、達成してきたこれまでの結果を自分で誇らしく思いたいです!
トゥルは自身の身体の使い方や感覚を研いでいかねばならないので、頻度が大事だと思っています。
練習が2〜3日空くだけでせっかく前回研いで得た感覚がすぐ鈍ったり、その日のメンタルやイメージが変わるだけで良くも悪くもすぐ感覚が変動します。
それをなるべく右肩上がりに向上させ大会まで作り上げていけるように、やはり頻度を上げ、向上させたい目的や理想を明確にして練習するよう心掛けました。
今回は自身も4年ぶりの大会でありながらそれと同時に自身の道場の弟子3名と一緒に臨めたこと、そしてその内の2名は国際大会初出場だったことが、私にとって新鮮で印象的な大会となりました。
渡航前の練習期間は弟子達に教えつつ、同じ選手として共に代表練習に参加してお互いの調子を話し合いながら共に切磋琢磨し、大会では応援し合いました。
そして三者三様の世界世界選手権への挑戦を現地で一部始終見させてもらえたことも長くなってきたテコンドー人生の中でとても意義深い大会となりました。
さらに、入門当初の幼い頃から成長を見届けてきた鈴木佑実選手の世界選手権初出場にたまたまセコンドにつかせてもらえたことも感慨深かったです。
そして自分がジュニア世代の頃から見知った海外選手が35歳以上のベテラン世代となり数多く出場していたのも印象的でした。
海外にもテコンドーを長く愛する仲間がいるのを実感し、また日本に皆さんもぜひテコンドーという一つの道を共に長く歩み続け、自分を鍛えることを楽しんでいただきたいと思いました。
自身としては今回で14回目となる国際大会で、これまで沢山の経験をしてきたので、それらがあらゆる面で活きた大会となったと感じました。
経験を積んでいくことが大事だと一般的に誰もがよく口にしたり聞くことだと思いますが、長く多く経験したことにより、それを本当に実感できました。
良い出来事もつらい困難も何事も自分を成長させてくれる経験であり、挑戦してこそそれを得れると思います。
そしてそれに向けた準備を怠らないように日々備えていきたいと思います。
世界大会 メダリストインタビュー No.6
ベテラン・ゴールドクラス
女子トゥル1段 優勝 / 女子マッソギ -54kg 第3位
朴 春蘭 選手

試合期間にそれぞれの国の応援に熱が入り、声援の嵐で会場が響めき世界大会の雰囲気を醸し出していました。ジャパンチームも団結力を発揮しお互いを激励する姿が印象的でした。「チュンランさんファイト-!」「チュンランさんまだ終わってないよ-!」「頑張れ!」とジュニアからベテランまで連帯感とお互いを讃えあうアツい声援に胸がいっぱいになりました。

私自身の結果はベテランゴールド1段トゥルで5-0で優勝、ベテランゴールド−54kgマッソギで第3位でした。今回は初めての世界大会出場であり、こんな大舞台は人生で何度あるかわからない、必ずメダルを取ろう!と決意しました。

準備期間、トゥルに関しては、サジュチルギからケベクまで各100回以上修練すること、これを達成しないことには自分に金メダルは絶対にあり得ないと心に決め、跆拳道修練課題表をどこへでも持ち歩き、強化練習や道場稽古に加え、公園や運動施設でたくさん自主練しました。カザフスタン世界大会の試合コートを思い描き、まだ見ぬ相手を想定し、目の前に審判員がいて自分に勝利の旗が上がる光景をイメージしながら動作を繰り返しながら執念を燃やし続けたことが結果に反映された、という思いです。

トゥルもマッソギも過去の世界大会の動画を見たり、アダルトクラスのメンバーとも意見交換し上手い選手の動きをお手本にして研究を重ねました。特にジャパンチームには世界大会経験選手もいて、強化練習の時から常にスキルフルな動きがお手本になり、その影響で周りの選手の上達に拍車がかかったと思います。

そして日本が誇る優秀な指導者に恵まれましたことを改めて幸せに思いました。また何ひとつ不自由のない試合会場設備、IDカードに搭載された試合状況が把握できるQRコードシステム、カザフスタンの象徴がデザインされたメダル、優勝者にはチャンピオンベルトまでが用意され、テコンドーを愛し発展させようとする運営陣や審判団の方々の熱意と誠意が至るところに表れていて、選手が最大限に試合を楽しみ、力を発揮できる環境が用意されていた事に感謝しています。
ありがとうございます。

トゥル競技では私自身が一生悩んだ呼吸の吐きかた、頭から指の先まで意識の届く動作の繊細さ、正確さ、確実に力点できめる姿勢、見せ方、動じない気持ち、バランス、視線、躍動感、動作から動作への繋ぎかた、特に床から足が浮かないよう摺り足になることを注意し意識しました。

ジャパンチームのサインウェーブの動きが非常に良いと評価されたようですが、確かにその一流な動きは、ジュニアの選手を見ても毅然としていて安定していました。ジャパンチームや海外選手のハイレベルなマッソギの動きにも感銘を受け、”テコンドーとはこんなに面白いスポーツ、武道だったのか!”と改めて思い知り、興奮しました。テコンドーは日々進歩していると思いますが、今後も世界に立ち向かい、テコンドーに上達したりテコンドー技術を改善する有効な方法は上手い人から学ぶことだと思います。世界大会を目指しどんどん経験し認め合い、実践して得た技術や改善点や教訓を持ち帰り、稽古生に伝えていくことが大切だということを学びました。

開会式では、跆拳道創始者である崔泓熙(チェホンヒ)将軍が普及と発展に導くまで激動の人生を歩みその生涯を閉じた様子や跆拳道の歴史が心に染み入る音楽と映像で構成され、私達の目に飛び込んできました。何か込み上げるものがあり、跆拳道の伝統を後世に引き継いでいかなればならないという使命感にかられました。

また、宗教、人種、国境、思想に拘らず全ての人間が兄弟のような関係を持つ為の媒体となるテコンドーが世界により多く普及する為にこれからも貢献していきたいと思うようになりました。

最後に、私とトゥルで対戦してくださった大切な友であるロシアのアンジェラ選手、カザフスタンのアリア選手、マッソギでは朝鮮民主主義人民共和国のカンヨンエ選手に敬意を表します。
お互いに健康でいることを願います。
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